【イベントレポート】CRCあり方会に出展、DCT利用状況に関する調査を実施
2024年9月15日・16日に札幌で開催された「CRCと臨床試験のあり方を考える会議」(以下「あり方会」)に出展いたしましたので、その報告をさせていただきます。
メディデータは、「あり方会」を通じて、医療機関で働くCRCの皆様に対し、臨床開発のデジタル化の現状や今後の変化について情報を提供し、臨床開発業務のデジタル化への理解を深めていただくことを目的とし毎年出展をしています。また、臨床開発ソリューションを提供する企業として、皆様からのフィードバックは、医療現場の現状を理解する貴重な機会であると考えています。
2024年は、eConsentを始めとするDCT関連のソリューションの紹介に加えて、昨年に引き続きEHRデータをEDCに取り込むRave EDCの一部機能であるRave Companionのご紹介、そして機能を実際に体感してもらうCompanion Challengeを実施し、CRCさんに入力スピードを競っていただきました。日々のEDCへのデータ入力はCRCにとって大きな負担になっている中で、Rave Companionの機能により93%(n=61)の方がEDCへのデータ入力の負担が減るとの回答がありました。
参考:過去の出展について
・2022年: eConsentやePROをはじめとするDCTソリューション
・2023年: EHRデータをEDCに取り込むRave EDCの一部機能であるRave Companion
2日間にわたる「あり方会」におきまして、多くのお客様にご来場いただき、誠にありがとうございました。ご来場いただいた64名の方々にアンケートにご回答いただきましたこと、心より感謝申し上げます。今回は、下記の点についてアンケートを実施しましたので一部抜粋してご紹介します。
- DCTの利用状況
- ePROの利用状況
- eConsentの利用状況
- ウェアラブルの利用状況
下記表は、DCTにおいて経験のある手段/手法について質問しています。ePROは多くのCRCさんがすでに経験されており、DCTにおいては代表的かつ市民権を得ているソリューションであり施設での浸透を実感する結果となりました。また、適用された疾患領域についても、幅広く利用が進んでいることが伺えます。
eConsentの利用状況について、63名中16名(25%)が過去に利用経験があると回答しました。この割合が多いか少ないかの結論はまだ出ませんが、解決すべき課題が多く、ePROに比べると普及には時間がかかると感じています。eConsentの課題・懸念点および期待する効果についてeConsentを利用したことがない方を対象(n=47)に下記のように回答を得ました。課題や懸念点については、「試験によってデバイスが変わることによる運用負荷」、「100%eConsentへの置換が難しい」、「導入初期の施設の負担」に対する懸念が大きいようでした。ePRO黎明期にもあったように、新たな取り組みには大きな負担が伴うものの、時間の経過とともに標準化されその負担は軽減されることが期待されます。そして、デバイスの種類が変わることによる運用負荷については、ePRO同様に導入初期には施設側に大きな負担がかかることが想定されます。その負担を超える大きなメリットを感じることにより、ePROと同じ用にeConsentの浸透は加速すると考えられますが、そこについては、まだまだ検討すべき課題があると感じています。また、100%eConsentへの置き換えについては、eConsentに限った話ではなく、全てのケースでデジタル化がが可能ではなく、希少疾患や精神的、認知的な疾患、高齢者への対応では、紙との併用や特別なケアが必要となるため、この点がeConsentの導入を遅らせる要因となっています。
(n=47)
最後に、ウェアラブルデバイスの試験についても触れたいと思います。Medidataグローバル規模ではウェアラブルを用いた試験の実績が増えており、日本国内でもお問い合わせは増加傾向にあるものの、実際に適用された試験が少ないのが現状です。しかし、アンケートの結果では、約4分の1の16名の方が実際に経験していると回答しており、適用疾患領域も多岐にわたっており、興味深い結果となりました。
デジタル技術により質の高い臨床試験を実現し、患者様にその恩恵を還元することが、メディデータの最優先事項です。しかし、患者様と一番近くで接するCRCさんを通して見えてくることは、デジタル化を選択できない、または選択しないことが許容されることも必要だということです。特に治験では、すべての人が平等な機会を持ち、誰一人として取り残されないことが求められます。デジタルでも非デジタルでも、その人にとっての最善の手段を提供することが大切だと感じます。
臨床開発のデジタル化を推進する企業として、私たちは双方の立場を理解し、丁寧に対話を重ね環境を整えていく必要があります。数十年後には、デジタルネイティブ世代が主流となり、デジタル化が一層進むことが予想されますが、その際も、少数派が取り残されないような手段を確保することが重要です。この点を心に留めつつ、ITソリューションの提供を通じて、臨床開発の発展に貢献していきたいと考えています。