ギャップを埋める – TEFCA、医療データの相互運用性、そして臨床研究における活用事例

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2024-12-16
ギャップを埋める – TEFCA、医療データの相互運用性、そして臨床研究における活用事例

複数の電子カルテ(EHR)システムからデータにアクセスする際には、データの重複、欠落、または不整合によって課題が生じます。医療エコシステムにおけるEHRと他のシステム間で標準化や相互運用性が不足していることは、深刻な結果を招く可能性があります。たとえば、患者さんの病歴に関する重要な情報が他のシステムとの統合不足により病院スタッフに表示されない場合があります。この欠落したデータが原因で有害事象が発生し、最悪の場合、患者さんの死亡につながる可能性もあります。

これらの問題は決して軽視できるものではありません。米国だけでも、相互運用性の欠如による推定コストは年間300億ドルにのぼり(図1参照)、その多くは回避可能なものです。

What Happens When we Don’t Have an Interoperable Healthcare System?

図1. 相互運用可能な医療システムがないとどうなるのでしょうか?

これらの問題は何十年にもわたり業界を悩ませてきました。そのため、次のような重要な疑問が出るのも当然です。なぜこの問題がいまだに存在するのか、そして状況を改善するために何が行われているのか?

共同プレゼンテーションにおいて、Dan Braga(メディデータ、ヘルスケアおよびEHRソリューション担当VP)とSamir Jain(メディデータ、EHRソリューション製品管理担当シニアディレクター)は、現在も使用されている歴史的な標準(図2)の長所と短所についてまとめました。それは、初期の「施設内システム」から、ポイント・ツー・ポイントのデータ共有、そして今日のWeb標準へと至るまでの進化を示しています。

Major standards that are used today

図2. 現在使用されている主要な標準

明らかに、米国だけで年間300億ドルもの過剰コストが発生し続けていることからもわかるように、相互運用性に関する問題の解決や標準化への試みは限定的な成功にとどまっています。私たちのプレゼンテーションでは、業界が直面する3つの主要な課題(図3)について概要と活用事例を共有しました。それは、データ標準における曖昧さと柔軟性、ポイント・ツー・ポイント接続や複数ネットワークに関連する問題、そしてデータ共有契約と信頼できるフレームワークの必要性です。

Where does that leave us?

図3. では、私たちはどこに立っているのでしょうか?

これらの課題を踏まえ、私たちは業界全体の変革の基盤となる業界イニシアチブのニュースを共有できることに大いに期待しています。このイニシアチブにより、システム同士がゲートウェイやネットワークを介して相互運用し、データを共有できるようになります。

21st Century Cures Actの一環として、米国の国家医療情報技術調整局(ONC)は、米国内での臨床データ交換のための「相互運用性の基盤」を構築することを義務付けられました。この取り組みは「信頼された交換枠組みと共通合意(TEFCA)」と呼ばれています(図4)。信頼された交換枠組み(TEF)は、データ交換における技術標準を指し、共通合意(CA)はネットワーク内でのオープンなデータ共有を可能にするデータ共有契約に関するものです。

What is TEFCA?

図4. TEFCAとは?

TEFCAの初期段階は治療に関するユースケースに焦点を当てていますが、将来的には臨床研究への対応も期待されています。

このフレームワークはハブ・アンド・スポークの概念に基づいており、1つのハブに接続すれば、そのネットワーク内のすべてと相互運用できる仕組みです(図5)。ハブはデータ出力の標準化を行い、インバウンドおよびアウトバウンドの接続を管理するため、スポンサー、CRO、治験実施施設、テクノロジープロバイダーなどのステークホルダーがそれを個別に行う必要はありません。

Major components of TEFCA.

図5. TEFCAの主要な構成要素

ハブ・アンド・スポークネットワークの概念は、高いスケーラビリティ、効率性、管理のしやすさを備え、実装および統合のスピードが大幅に向上することで知られています。これを具体的に考えると、500本の個別なポイント・ツー・ポイント接続を設定する場合と、1つのハブに1回接続し、そのハブが500の接続を持つ場合を比較すれば、その利点は明らかです。

このイニシアチブの一環として、米国全体での医療データ共有のための「ネットワークのネットワーク」を構築するために、2023年2月13日に米国保健福祉省(HHS)から最初の6つの潜在的なハブ(図6)が発表されました。これらのハブは「認定医療情報ネットワーク(QHIN)」と呼ばれ、Kno2、Health Gorilla、eHealth Exchange、Epic、Commonwell Health Alliance、Konzaがその企業です。

Current TEFAC QHINs.

図6. 現在のTEFCAの認定医療情報ネットワーク(QHINs)

2023年12月12日、eHealth Exchange、Epic Nexus、Health Gorilla、KONZA、そしてMedAlliesが正式にQHIN(認定医療情報ネットワーク)として指定されたことが発表されました。Kno2は2024年2月にQHINの要件を満たしたことを発表しました。

EHRデータが臨床試験エコシステム全体でますます活用される中で、相互運用性および統合の欠如による影響は、医療および臨床試験のエコシステム全体に長く感じられてきました。TEFCAを活用することにより、その影響は大幅に改善されると期待されています。

メディデータでは、TEFCAを既存のソリューションであるmyMedidata Patient PortalRave Companionと組み合わせて活用することで可能になるさまざまなユースケースに取り組んでいます。また、他の商業および医療分野での事例についても議論しました(図7および図8参照)。

How does Medidata bring this all together?

図7. メディデータは、これらすべてをどのように統合するのでしょうか?

Clinical research and healthcare data interoperability.

図8. 臨床研究と医療データの相互運用性

私たちが選んだ事例は、次のようなテーマに触れました。データ入力の自動化(EHRとEDCの連携により、EDCソリューションでの重複入力を排除し、スケーラブルにデータへアクセスすること)、患者レジストリ(患者さんの医療記録をレジストリに接続し、患者さんを定量的に選定すること)、および患者募集(治験施設が患者さんを検索し、コホートを作成できるようにすること)です。また、製薬および医療機器の研究における地域コホートの集計と可視化、ならびにリアルワールドエビデンス(EHR、検査機関、保険請求データなど、医療エコシステムの複数の情報源からデータを収集、集約、分析すること)についても議論しました。

メッセージは明確です。医療データと臨床研究データのギャップを本当に埋めることは、もはや実現可能な段階にあります。

この業界を変革するイニシアチブと、メディデータがその機会を最大限に活用して臨床研究をどのように変革しているかについて詳しく知るには、こちらのセッション(英語)をご覧ください。

メディデータの医療データへの安全かつコンプライアンスに準拠したアクセスを可能にする技術について詳しく知りたい方は、Medidata Health Record Connectのページをご覧ください。

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