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DCTの患者へのメリットとクリニカルデータマネジメントへの影響
この投稿では、DCT(分散型臨床試験)が患者にもたらすメリットと、データマネジメントに及ぼす影響について探ります。
患者へのメリット
DCTは、その性質上、患者にロジスティックスや治験施設への移動(必要な場合)に関して柔軟性のある選択肢を提供するため、患者に焦点を当てたものとなっています。柔軟性と患者の選択肢の増加は、臨床試験の開始から終了まで分散型サポートを可能にするテクノロジーによって実現されます。
従来の治験と比較して、DCTは患者にとって以下のような特徴的なメリットがあります。
- 利便性の向上: 治験施設への訪問がより柔軟になり、移動が不要になる、あるいは大幅に削減されます。
- 試験へのアクセスの向上: 地理的な理由や、患者群が少ない場合など、これまで参加できなかったような試験への参加にも、患者が参加を検討する可能性があります。
- データへのアクセスの増加: 患者は、収集された自身のデータを医療関係者(HCP:Health Care Professionals)と共有する、あるいは自分自身の興味から、そのデータへアクセスすることを望んでいる場合が多くあります。デジタルテクノロジーは、患者のデータアクセスを容易にすることができます。
- 満足度の向上: 患者はより多くの選択肢や権利を得ることで、より積極的に参加し、より高い満足度を得ることができます。
患者体験が臨床試験全体の成功に最も重要であることを考えると、正しく計画されることで、DCTはその患者中心の性質上、成功する可能性が十分にあります。
DCTがデータマネジメントに与える直接的な影響
ウェアラブルデバイス、eCOA、遠隔医療プラットフォームなど、患者から直接収集されるデータが増える中、試験データのクエリやリストベースのレビューに代わり、消極的な戦略から積極的な計画やテクノロジーベースのソリューションに考えをシフトすることが急務となっています。従来の臨床試験では、データマネージャーは、データリスト、ダッシュボード、相互運用性を持たない自社開発ツールなどを使って、手作業で傾向やデータの異常を特定することを課せられていました。
「臨床データ管理の未来はここにあり」のブログや、RBQM/ICH E6勧告に示されたリスクベースの品質管理手法に関連する利点を含め、臨床試験におけるデータ管理の新しい領域に適応するために、データマネージャーの役割と責任をサポートする近代的なプロセスとテクノロジーがますます利用可能になっています。
データマネジメントのリーダーや臨床試験に直接携わる人々にとっての課題は、増え続けるデータソースのリスト、新しいデータタイプ、分析ツール、既存の人員をリスクベースの環境にどのようにうまく組み込んで、臨床データが "目的に適った "収集であることを保証するというデータマネジメントの中核機能をいかに実行するかということです。上記のように、現代のデータマネージャーは、手動によるクエリやリストベースのレビューに代わる相互運用可能なテクノロジーベースのソリューションを計画・展開する際に、ますます積極的な対応を迫られることになるでしょう。つまり、データマネージャーは、異種データのすべてをまとめ、完全なペイジェントジャーニーを調和して伝えるための核となりつつあるのです。
はっきりしているのは、近代化された新しいデータマネジメントの世界では、古いやり方は通用しないということです。データマネジメント組織は、データマネージャーのスキルアップを優先し、分析マインドセット、臨床スキル、リスクと緩和プロセス、さらにリアルワールドエビデンス、データトレンド、DCTからの代替EDCデザインに基づく新しい臨床エンドポイントの理解と活用を拡大するために時間とリソースを割く必要があります。
この文化的転換に取り組み、リアルタイム分析のための専門ツールを含む新しいデータガバナンスツールキットで日々の活動を補強すれば、データマネージャーは、DCTのどの段階においても、プロトコルの設計からデータの可視化、さらには患者中心のテクノロジーソリューションに至るまで、よりよい形で関与できるようになるでしょう。