メディデータ、ASH 2024で研究成果を発表
血液がんはがん全体の中でも大きな割合を占めており、その種類にはリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、骨髄異形成症候群(MDS)などが含まれます。血液がんには100種類以上もの異なるタイプが存在しており、正確な診断と個別化された治療計画の重要性が浮き彫りになっています。
血液がんの種類が非常に多岐にわたり、疾患がますます複雑化しているため、画期的な治療法を見つけることはますます難しくなっていますが、その重要性も増しています。血液がんの治療には、化学療法、放射線療法、手術、幹細胞移植、CAR-T療法(キメラ抗原受容体T細胞療法)など、さまざまな選択肢があります。これらの治療法、またはその組み合わせは、血液腫瘍学(ヘモオンコロジー)の専門家が、患者の疾患や個別のニーズに基づいて治療を行う際に使用されています。化学療法のように以前から利用されている治療法もあれば、CAR-T療法のように血液腫瘍学の分野では比較的新しい治療法もあります。
CAR-T療法は、化学療法などの治療法に比べると比較的新しいものですが、これまでに30,000人以上の血液がん患者の治療に成功してきました。CAR-T療法の基本的な仕組みは、患者からT細胞を採取し、それを遺伝子改変して再び患者に戻すことで、既存のがん細胞に結合して攻撃を行うというものです。この療法は主に血液がんに使用されていますが、他のがん種への適用可能性についても研究が進められています。
血液腫瘍学(ヘモオンコロジー)の患者は、一般的に第二の原発性悪性腫瘍(すでにがんと診断・治療を受けた患者に新たに発生する別のがん)を発症するリスクが高いことが知られています。これは、過去に受けた細胞毒性化学療法への曝露が部分的な要因となっています。最近、FDA(米食品医薬品局)は、CAR-T療法を受けた後にT細胞リンパ腫1を発症した22人の患者について認識し、さらに調査を進めました。
メディデータは、Eddie Cliff, MBBS, MPH (Peter MacCallum Cancer Centre)、David Russler-Germain, MD, PhD (Siteman Cancer Center, WUSTL)、Kai Rejeski, MD (LMU University Hospital, Munich)、Aaron Kesselheim, MD, JD, MPH (Harvard Medical School)との協力のもと、第二の原発性悪性腫瘍の発生率をさらに定量化することを目指しました。メディデータは、自社プラットフォームで実施された臨床試験の集計データを活用し、1500人以上の患者を分析した結果、患者が第二の原発性悪性腫瘍を発症する率は1患者年あたり2.45%であることを発見しました。この値は、自己または同種幹細胞移植などの他の細胞治療を受けたリンパ腫患者に関する既存データと比較しても同等の結果です。
がん治療に伴うリスクをFDA、医師、そして患者が理解することは重要ですが、そのリスクは文脈に応じて評価され、潜在的な治療効果や代替治療法との比較を踏まえて慎重に検討されるべきです。CAR-T療法は、血液がんと診断された多くの患者にとって命を救う治療法であることが証明されています。第二の原発性悪性腫瘍を発症するリスクが存在する一方で、私たちの共同研究は、このリスクが他の細胞治療と比較して決して高いものではないことを示しています。
この研究の成果は、血液がんの治療に用いられる他の治療法と比較した場合のCAR-T療法のリスクと利益のバランスを理解する上で非常に重要です。残念ながら一般的に見られるこれらのがんとの闘いはまだ終わっておらず、命を救う治療法の選択肢を多様に持つことが極めて重要です。
「メディデータ・リサーチ・アライアンスの中核的な使命は、データの力と学術的な医師科学者との協力を通じて、患者のための医療ブレークスルーを推進することにあります。これらのパートナーシップを通じて、集積されたデータから得られる洞察を臨床実践に橋渡しすることが可能になります。本研究は、適切な文脈において治療法のリスクと利益を理解することの重要性を示しています。」
– Sheila Diamond, MS, CGC, Director, Scientific Engagement, Medidata
メディデータは、本年12月に開催される第66回アメリカ血液学会年次総会(ASH)(the 66th American Hematology Society Annual Meeting)において、この共同研究を共同発表できることを誇りに思います。ASHは12月7日から10日まで、カリフォルニア州サンディエゴで開催されます。ミーティングの設定をご希望の方は、こちらからお問い合わせください。
参照
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- Center for Biologics Evaluation and Research. “FDA Investigating Serious Risk of T-Cell Malignancy.” U.S. Food and Drug Administration, FDA, www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/safety-availability-biologics/fda-investigating-serious-risk-t-cell-malignancy-following-bcma-directed-or-cd19-directed-autologous. Accessed 29 Oct. 2024.
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