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臨床試験における患者エンゲージメントの強化により、希少疾患の臨床開発を加速化
現在わかっているだけでも7,000を超える希少疾患があり、世界的に見ると全世界で4億人以上、米国では約3,000万人が罹患していると言われています。推定では、全世界で20人に1人が、人生のある時点で希少疾患の影響を受けると言われています。この数字は驚異的です。
例えば、2021年には、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、アラジール症候群、遅発性ポンペ病、ある種の非小細胞肺がん(NSCLC)などの希少疾患の治療薬として30種類以上がFDAから承認されています。しかし、希少疾患は未だアンメット・メディカル・ニーズの多くを占めています。このようなニーズの急増やオーファン指定の様々な優遇措置にもかかわらず、希少疾患の治療に使用できるFDA承認のオーファンドラッグや医療機器は、わずか550品目程度にすぎません。
希少疾患の臨床研究に関連する以下のような主要な課題を考慮すると、その背景が見えてきます。
- 臨床試験への希少疾患患者の募集
- 臨床試験参加患者の継続参加
- 患者数が少なく、試験データが不完全になるリスク
- 分析用の臨床試験データが限定的
- 疾患に対する理解が不十分
- 希少疾患の専門家が限られている、またそのアクセスも困難
- 臨床目標やエンドポイントの定義が不明確
- 希少疾患臨床試験の実施
さらに、患者や医療専門家が地理的に離れているため、複雑な多国間協力体制が必要とされることが多いことも、この問題を悪化させる原因の1つです。希少疾患用医薬品は承認までの時間がかかり、医薬品開発コストが大幅に増加するため、これらの障害によって、これまで希少疾患における医薬品開発への投資が抑制されてきました。
しかし、バイオ医薬品業界は、希少疾患臨床開発を支援する新しい臨床試験技術や方法論の登場により、新規の希少疾患治療薬の開発にますます注力するようになっています。希少疾患臨床薬の開発を支援する最新のソリューションには、臨床試験での患者さんの関与を高めるための新しいアプローチが含まれています。
医薬品開発者は、臨床試験の効果を最大化するために、できるだけ早い段階で患者さんの声や専門家の見識を臨床開発プロセスに取り入れる必要があります。そのためには、希少疾患患者団体、医学・科学の専門家、医薬品開発者、患者支援団体間のつながりやコミュニケーションを育むことが必要です。重要なのは、患者支援団体が希少疾患患者コミュニティの共通の優先事項を理解し、一般に特定の患者グループにとって何が重要かを大局的に捉えていることです。
アドボカシーグループは、一般的に、治療のライフサイクルを通じて学術界や医薬品開発者を巻き込むことにかけては、非常に高い専門性を持っています。このような交流は、患者さんの関心を高め、被験者募集やその継続参加につながるだけでなく、患者さんの声を取り入れることで、多様性を豊かにし、知識の共有を促し、患者さんが一流の医療専門家にアクセスしやすくすることにもつながっています。
患者さんの臨床試験への参加が促進され、非常にポジティブな経験が生まれると、希少疾患患者と医薬品開発者の双方にメリットがあります。患者さんは新規治療法の開発を促進し、医薬品開発者は臨床試験に必要な希少疾患患者さんとのつながりを得ることができます。製薬企業は、患者コミュニティとの協力関係において、代表性と多様性の双方に配慮することが重要です。患者支援団体を含む患者コミュニティのメンバーとの早い段階での関わりを通じて、医薬品開発企業は希少疾患プログラムを成功に導くことができます。
ビデオ視聴はこちら 臨床開発における患者参加についての希少疾患の専門家の特集