中外製薬

全社的なDX推進の一環として、臨床試験 の同意取得でMedidata eConsentを導入 デジタル活用による試験の効率化と患者 中心の実現を目指す

  • DX推進および患者中心の実現に向けて、自社の国内試験でのeConsent導入を検討
  •  EDCとの親和性および迅速かつ柔軟な導入プロセスが決め手となり、Medidata eConsentを採用
  •  電子による同意データの保管や動画での説明によるメリットは、施設および被験者 から一定の理解と評価を得られた
  • 被験者の理解度や同意取得状況の可視化により進捗度を把握でき、効率的な インフォームド・コンセントの取得が可能に

 

導入背景

2019年10月にDXを部門横断で推進する「デジタル戦略推進部」を発足させてデジタル化に取り組んでいる中外製薬。2030年を見据えて掲げている「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」の3つの基本戦略の1つに、デジタルを活用した革新的な新薬創出(DxD3 :Digital transformation for Drug Discovery and Development)がある。研究プロセス、開発プロセス双方で様々な手法やツールの活用を検討・実現する中、臨床試験フェーズにおいてもデジタル活用が進みつつある。この取り組みの一つとして同意取得プロセスへのITツール活用が検討された。

中外製薬がその一員となっているロシュ・グループでは、グローバルにおいてはすでに数年前からeConsentを導入しており、ロシュ社からは過去にeConsentの日本での導入について言及されたこともあった。各国の規制対応状況が異なることや、導入までにかかる期間などあらゆる事情が異なるため、一気呵成に導入を推し進めることは難しいものの、グローバル全体で足並みを揃えていく上でも日本における導入可否(運用面、規制面など)を明らかにし、早めに経験を積んでおきたいとの考えから、日本でのeConsent導入を決めた。

ソリューション

DXの実現に向けて臨床試験におけるデジタル化を進めていきたいと考えていたことに加え、COVID-19のパンデミックによる分散型臨床試験(DCT)導入の潮流も後押しとなり、eConsentの採用を決定。

これまでは患者への説明、同意、アウトカムの報告などはすべて来院前提で紙を用いて進められていたが、パンデミックによって来院が難しくなったことで、それらの一部また大部分をリモートで行うDCTに注目が集まっていたことは同社のデジタル推進の追い風となった。

システム導入からGo Liveまでの期間が2カ月半と短期間ですみ、かつ柔軟に対応できた点が評価され、Medidata eConsentの導入が進められた。

同意説明文書(ICF)は治験審査委員会(IRB)の承認を得る必要があるため、実際に使用する資料やコンテンツの準備を事前に終えておかなければならず、また、同意取得は臨床試験における最初のプロセスであるため、試験開始および全体のスケジュールに影響を及ぼさないようにするためにも、短い期間でスムーズに導入を行えることが重要になってくる。メディデータでは、製品のエキスパートとプロジェクトマネジメントが1つのチームとしてサポートを行っており、機能面における質疑対応や試験開始までに必要な準備を効率的に同時並行で進められた点が円滑な導入につながった。

システムの親和性や機能性の面においては、eCRFとしてすでにメディデータのRave EDCが広く使われているため、同様のプラットフォーム上で動くeConsentは画面の見方や操作方法などで支障がでなかったことも選定の一因となった。

効果

中外製薬が実施した患者向けのアンケートでは、「紙よりも見やすかった」「同意プロセスはeConsentでも問題ない」などの前向きな回答が得られ、書類の視認性、署名欄の判別などを容易にできたという声が聞かれ、ビデオに対する評価も高かった。

試験に共通した部分を動画にまとめて汎用的に活用できることや、ダッシュボードでの進捗管理などはeConsentの魅力の一つであり、同意文書の理解のしやすさについては今後さらに経験を重ねることで電子化の魅力をより浸透・強調していきたい姿勢。

今回の導入経験から、国内試験においてもeConsentが利用できる確信を得ることができた。

 

全社的なDX推進の一環として、臨床試験 の同意取得でMedidata eConsentを導入 デジタル活用による試験の効率化と患者 中心の実現を目指す